第110回(平成24年10月1日)

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実りの秋の楽しみは、演奏会なり


 週末になると、周期的に台風が来るような感じがする。幸いにも、岡山は大きな被害もなく、なによりです。

 10 月の声を聞くと、秋らしく朝夕はしのぎやすくなった。実りの秋です。葡萄、梨、柿、など美味しく甘い果物に、岡山は恵まれています。食べ過ぎにならないようにしたいものです。

 ところで、私は毎年この時期をワクワクしながら、楽しみに待ち遠しくしていることがあります。今年も、楽しい夕べを過ごすことができました。そのこころは、岡山市中区西大寺に学校がある岡山学芸館高校の吹奏楽の定期演奏会を聴くことなのです。学生の実力はレベルが高い。全日本吹奏楽コンクールに、 3 年連続で出場していることからも分かります。今年は、 33 回目だから 33 年間続いていることになります。先輩が後輩へと、引き続けていくことは大変なことですが、最初は数名の部員から始まったのだが、現在は、 100 人以上の大所帯になっているそうです。演奏時間は約 2 時間半程ですから長いのです。学生達が、手作りで企画演出するのです。 2 時間余り切れ目なく、演奏を中心にお喋りや踊りがあり毎年趣向が変わっています。 3 年生が中心になって、全ての企画立案等を手掛けて運営を自分なりに考えるのでしょうから毎年変わるのは当たり前です。今年から、 2 回公演になり、たちまちのうちに 4,000 枚のチケットが完売されたそうです。私は、残念ながら音感が鈍いため、本当の良さが分かりませんが、トランペットをはじめ各種の楽器が奏でる音色に感動しています。

 3 年生は、定期演奏会が終われば受験勉強に集中するのでしょう。とにかく、楽器に限らず一途に全精力を注ぎこめたことは素晴らしいことです。達成感も貴重なものです。

 何か一つのことに打ち込み「やった〜」という気持がもてれば、他のこともできるものです。岡山学芸館高校の生徒さん、特に吹奏部員の皆さんは貴重な体験をされたと思います。

 私は、音楽はダメ、体育もダメで初めから諦めていましたから、達成感や仲間意識が欠如しています。今頃になって、スポーツセンター(ジム)に通い始めて恥を忍んで、リズム感のない肉体を動かしています。

 ジムで、他人様のエクササイズをギャラリーとして見ていると非常に上手い人がいます。そういう人は動きが美しく、目に留まります。ただ、反面さほどでもない人もいるようです。どうであれ、本人がやる気を出して満足できればよいのです。誰も生れたときから楽器が吹けるわけでもありません。無から始めて有が生れます。とにかく練習して楽器が吹けるようになるのです。ただ言えることは、一定のレベルまでは通常人は達しますが、そこから一歩抜きんでるということになれば、これは並大抵のことでは達成しません。吹奏楽は、一人だけではなく多人数でやるものですから、全員が一定のレベル以上でなければ、全国区のコンクールに出場はできないのです。一人だけおかしな音とか調子を外すと、分かる人には判別できるものなのです。素人には分からなくても…。

 私は、岡山学芸館高校の出身者でもなければ回し者でもありませんが、森靖喜理事長が掲げて実行している学校教育には、高い評価をしている者の一人です。

 同学校の教育方針は「立派な日本人の育成」「教育は人間力なり」「日本人としての倫理・道徳=人間力」という目標が大前提ですが、これらを忠実に実践しているのが吹奏楽部員のようにも思いました。但し、他の部に於いても同様のことが言えるでしょうが、私が知らないだけでしょう。

 かつて、岡山県は、教育県といわれ私はそう思い込んで岡山で高校まで育ってきましたが、最近の岡山県の学力等は、下から数えた方が早い県なのだそうです。

 教育の抜本的な立て直しが、必要な時ではないでしょうか。岡山学芸館高校の森理事長をはじめとする各々の学校の教育方針をもう一度噛み締めて岡山県を再生してほしいと思います。尚、念のため、教育とは勉強ができるだけのことではありません。一芸に秀でることも立派なことです。全人格的な教育向上の気運が、今こそ必要な時ではないかと考えています。

       

おかやま適塾

馬場 勉

 

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