第138回(平成25年10月3日)

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ジャワ島中部にある世界遺産群を行く


<注記> 

 このコラムは、岡山経済同友会より、2013年9月16日(月)から9月23日(月)にかけて、東南アジア経済視察(ヤンゴンとジャカルタ8日間)に同行したときの私の執筆担当分として書いたものです。参考までに。

 2013 年 9 月 20 日(金曜日)。ジャカルタから空路ジョグジャカルタへ。専用車で世界遺産ボロブドール遺跡、さらに同じく世界遺産であるプランバナン遺跡を見学し、空路によりデンバサールへ移ってデンバサールで宿泊した。

 インドネシアの首都ジャカルタ(オランダが植民地として統治していた)をはじめ、世界遺産のボロブドゥール寺院遺跡群やブランバナン寺院遺跡群を有しているのが、日本人には有名な「ジャワ島」である。

 ジャワ島にあるジョグジャカルタは、中世ジャワの面影を残している古都であり、郊外に世界遺産のボロブドゥール及びプランバナン寺院遺跡群がある。

 さて、本命の視察した世界遺産の説明をすることにする。

 「ボロブドゥール寺院遺跡群」はジャワ島中部ジョグジャカルタの北西 42km のプロゴ渓谷にある。 824 年の建造といわれているが、火山灰の下に約 1,000 年埋もれてジャングルになった状態で発見され、その後、日本の政府も協力して現在のような状態に整備された。あまりに多くの謎に包まれていることが、人々の好奇心を刺激しているといえる寺院遺跡である。

 概要を言えば、円錐搭の形をしている搭が、 1 段、 2 段 3 段となっていてその上に大ストゥーパという窓のない頂上になっている「完全な無の境地」を表しているとのこと。すなわち、 1 段目と 2 段目の小ストゥーパは菱形の窓があり「否んだ心」を表現している。 3 段目の小ストゥーパは正方形の窓をしていて「安定した心」を表す。大ストゥーパには窓がない。すなわち、「完全なる無の境地」を表現しているのだそうである。要するに「俗界に人間の不安定な否んだ心」から「安定した心」へさらに窓のない大ストゥーパにより「完全な無の境地」に導くことになるということである。人間の一生を仏教の世界を形(石塔)でもって、段々と悟りの世界に導いていく。絵巻物のようなつくりになっていると考えれば理解しやすい。

 次に、見学したのは「プランバナン寺院遺跡群」。ジャワ島中部のジョブジャカルタの東方 15km のプランバナン平野に、約 5 kuにわたりヒンドゥー教の寺院遺跡が点在している。中央部に目立つのは「ロロ・ジョングラン寺院」で 856 年に建てられたそうだ。三つの神殿の中央に位置する「シヴァ神殿」は 47m の高さがあり、外壁に施されているレリーフは「ラーマヤナ」をモチーフしており緻密に彫られている。何れの遺跡群も、比較的彫刻しやすい玄武岩に彫られているため、壊れやすく長年の間に首のとれた像が多く見られるし、崩れた搭も多く見られる。

 尚、ボロブドール寺院遺跡群は、大乗仏教の世界的な石造の巨大仏教遺跡であって、カンボジアのアンコール・ワット遺跡やミャンマーのパガン遺跡とともに三大仏教跡として世界的に有名である。

 また、プランバナン寺院遺跡群はジャワ島中部にあるプランバナン平野に点在しているヒンドゥー教寺院の総合遺跡でこれも世界遺産である。

 ところで、両者は、見た目には搭や彫刻には相似しているところが多いが、宗教上は仏教とヒンドゥー教と相違するが、比較的近い地域に存在していることは興味深いといえる。いずれにせよ、世界遺産であるから一見の価値はある。

          

おかやま適塾

馬場 勉

 

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