第9回(平成22年4月5日)

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南北朝時代に思いをはせる

 社員等の慰労を兼ねて、日本一の桜の名所といわれる吉野山中千本桜を愛でに旅した。吉野は奥・上・中・下と区分されて麓から山頂に向かって桜が時期をずらしながらシフトして咲いていく。一目千本というが、実際には、およそ6万本の桜があるので壮観である。まだ、少し満開までには時間が必要だったが、一見の価値はあることだけは事実。

 興味が湧いたことは、私が経験した限りの乏しい体験では、異質の文化的雰囲気の世界が“吉野”であった。

 日本史など史実によれば、鎌倉時代から室町時代への過渡期の1336年に後醍醐天皇が吉野に遷幸され、南朝宮が造営された。京都市内には、北朝が存在しかつ対立したことで南北朝時代という一時期を画くした。南北朝時代の南朝、その政権があったのが吉野。吉野朝宮跡がある。

 国宝である金峯山寺(きんぷせんじ)の立派なつくりの蔵王堂(ざおうどう)は、修験道の総本山として存在感がある。吉野から熊野に至る熊野古道の起点でもある。吉野一帯には多くの長い歴史に裏付けされた寺社仏閣が多数。歴史ブームの昨今では、いにしえの歴史を集約的に学ぶことができる貴重な土地柄である。吉野は山の奥という印象がするところだが都会人が訪れる繁華性のある歴史の都市である。ちなみに、金峯山寺を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は、その文化的景観の価値が認められて、2004年世界遺産となっている。

 正味2時間程の物見遊山の旅のために、往復で14時間を要するとは何と理解したらよいのかと思うが、バス旅行そのものが旅であると思えば楽しくなる。

 最近の観光バスが立派になったのにも驚いた。バス全体の大きさは変らないから、ゆったり座れるようにするためには通路を狭くすることによって全体のバランスをとっている。旅が快適になったことはいいことだと思う。世の中は安かろう悪かろうの傾向が強いが、多少は割高でも快適かつゆったりとした旅をしてみたいといと思っている人も多いだろうから、それに対応したバス企画をするのは結構なことだ。

 

おかやま適塾

馬場 勉


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