第57回(平成23年4月27日)

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国境なき原発群


 3 月 11 日の東日本大地震後、福島原発が翌日には水素爆発したため、建屋が吹っ飛んだ。映像で見た限りでは、タダごとではないと直感したのが普通の神経の持ち主。

 ところが、その当時たいしたことはない、胃のレントゲンや飛行機であびる被爆量に比べると恐れるに足りない、という主旨の記者会見をさかんにしていた。本当は、レベル 7 にまで達していた。戦時中の大本営発表と同じで国民に嘘の事実を流し、欺いていたのである。

 枝野内閣官房長官は、一大事だから食事も喉をとおらず痩せるのかと思いきや、つやつやとした血色のよいふっくらと恰幅もよい表情でテレビに映っている。本気で、政府関係者は事態の深刻さを考えているのかと思うが、他人事のように思っているとしか思えない。菅総理は、やつれた感もするが拳を握り締めて、絶対に総理を辞めないぞと意思表示している。ここにきて菅降ろしとかで、政界はがぜんにぎやかになってきた。緊急事態だから明確な指導力を発揮し万難を排してほしい。そういうことのできる人にリーダーはチェンジしてもらうのがいいのではないでしょうか? 1 ヵ月以上経っても何もできない人は、これから長くやっても何もできないことは明白だからである。      

 ところで、原子力発電所は、日本だけの問題では片付かないグローバル化した世界の問題である。日本の科学者や東京電力はじめメーカーや原子力安全保安院とか原子力安全委員会など船頭多くして右往左往しても、どうにもならない。

 日本の実力の限界を認識して、この分野では先進国のアメリカやフランスなどの忠告や援助を素直に受け入れるべきだろう。アメリカが早い段階で協力を申し入れても断るのはもってのほか。最近はアメリカのロボットとか対処(窒素を注入)の仕方を受け入れているようだが、どうにもならなくなって止むに止まれず拝聴しているとしか思えない。内閣は原発に関する限り素人集団だから聞く耳を持つべきだ。原発には、国境などないのである。ナショナリズムを振りかざして自己主張しても犬の遠吠えである。ここは、各国と連携して他国の進んだ技術や考え方を吸収して原発の事故そのものを封じ込めるべきなのである。

 私のような素人が心配事するのは、永遠にいつまでも福島原発と付き合わなければならないのかということだ。いったん火がついたら火を消すことはできないのが原発の原発たるゆえんである。とにかく、問題が起きたのだ。他の原発では、ぼやの間に火を消すことを考えて非常事態に対応できる技術や手段を構築すべきであろう。

 ぼやの状態だった非常事態発生の時に、菅総理は自分は専門家だと思い込んで福島原発の現場に乗り込んで行った。招かざるお客さんでもおいでになったからには、一国の総理だからそれ相応の対応を現場の人はすることになり、原発の爆発への対応がおざなりになったのではないかと、結果論としては後悔の思いがよぎる。ただ、終ってしまったことをいくら言っても取り返しがつかない。これからどうするのか、ということを真剣に痩せるぐらい考えぬいてほしいものだ。永久に非常事態が続くのであれば、国民としてはかなわないから。

 

おかやま適塾

馬場 勉

 

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