第67回(平成23年7月20日)

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「なでしこジャパン」と「魁皇」に感動


 大型台風 6 号が、日本を直撃している。ありがたいことに、岡山は大きな被害もなく通過した。全国的に見れば大雨や風で被害の出ているところあるが、日本の国土は昔から見れば強くなっているから、ちょっとやそっとでは大被害にはならないだろう。長い間の公共事業への投資の賜である。この認識は必要だ。

 昨今は、公共投資が悪者にお金を使うようにみられて、大幅に削られている。が、どうかと思う面もある。それにしても、台風が北へ一直線で四国まで上昇し、そこから 90 度東方へ方向転換すると予測していた。ほぼ、その通りになった。台風の予測のすごさに驚くとともに、天気予報の確度が高くなったのは、気象庁への公共投資が充実したためと思われる。台風の進路の予知の高い確率を高く評価したい。

 

 サッカー女子ワールドカップ(W杯)でなでしこジャパンが優勝した。日本時間の 7 月 18 日未明のキックオフだからウトウトしながらテレビを見ていた。優勝候補アメリカと実力以上の戦いで、 2 ‐ 2 で引き分けPK戦に持ち込みついに勝った。明るいニュースが日本だけでなく世界を駆け巡った。外人さんの体格のよいのに比べひ弱で小柄な日本なでしこが立ち向かった敢闘精神を最大限にホメテいた。

 常識的には体格の優れた外人が勝つと思うのが普通だが、どうしてどうして足も速く小技がきき、体当たりで向かってゆく姿は、女子挺身隊を彷彿とさせるだろう。戦争に立ち向かう日本人と重ね合わせることもできた。特に、本気になった時は女性が男子より強く怖い生き物であることもわかった。

 プロの人もいるがアマチュアが大半を占めているため、午前中は働き昼から練習という人が多く、金銭的にも恵まれていない。意気込みだけでガンバッテいる。まさに人生意気に感じるという心境。恵まれた環境でなく、かつ、体躯的に劣っていても優勝できることを立証した。日本人に勇気と希望を与えたことは間違いない。

 多くの人やマスコミが色々な角度から分析して、評価しているからこれ以上は皆さんの賛美に任せておきましょう。来るオリンピック優勝目指して次の目標にガンバルということだからさらに精進してもらいたい。

 なお、岡山の美作市を中心に活動している岡山湯郷ベルからは、宮間あや選手と福元美穂選手の 2 人が選抜されて、なでしこジャパンに参集して大活躍したことを付け加えておかなければならない。

 23 年間、体を張って相撲界に身をおき満身創痍でありながら、前人未踏の輝かしい記録を樹立した魁皇が、 7 月 20 日に引退届を出し、相撲界を去った。これからは、師匠として後進の若いお相撲さんの指導に尽力する。カイオウコールが聞けなくなったことは淋しい。相撲を見る魅力が半減したのも事実だろう。空席が目立つ名古屋場所がさらにお客さんが減って淋しくなりはしないか心配だ。

 引退の記者会見は 2 時から。だから、台風6号がちょうど愛知県(名古屋市)辺りを通り過ぎているころだ。時代を飾った魁皇が風(台風)とともに去ってゆくというヒロインを演じることにもなった。

 惜しむらくは、横綱になれなかったが、大関として長年務め上げ多くの大記録を残したことは、相撲史上燦然と光を放って、後世に言い伝えられるであろう。偉大な星がひとつ消えてしまうのは至極残念である。人柄の良さがジャマをして、横綱になれなかったともいえる。ただ、完全燃焼したのだから、悔いは残らないであろう。そのことがせめての慰めになる。

 なでしこジャパンのように、これから新時代を切り開いて新星の如くかがやくものもあれば、全力を出しきって数々の大記録を残して惜しまれながら相撲界を去ってゆく魁皇もありである。時代の新陳代謝が、世の中の発展のためには必要不可欠なものである。そのことを二つの事象は、図らずも同時期に主役交替により示してくれた。どちら様も、ご苦労様でした。ありがとう。

   

おかやま適塾

馬場 勉

 

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